運動推奨ガイドライン(アメリカスポーツ医学会ACSM)
2007年、
1995年に公表された運動ガイドラインが、アメリカスポーツ医学会(ACSM)とアメリカ心臓学会(AHA)によって刷新されました。(なんと10年ぶり!)
1995年に公表されたACSM運動ガイドラインは、その後日本のフィットネス界のスタンダードとなりました。
当時は、フィットネス=60%程度(ややきつい)の強度(あまり高強度のエクササイズは推奨しない)という内容で、日常生活でも活発的に行えば効果はある。という内容でした。
今回(2007年)は、健康維持のための運動とは、日常生活の単なる動作とは別のものである。
つまり少し強度を上げた「エクササイズ」の必要性を強く明記しています。
これらは現在「フィットネス運動を日常生活に取り込むための指針」として世界のガイドラインとなっています。
Physical activity and public health. Updated recommendation for adults from the American College of Sports Medicine and the American Heart Association.
◆2007年の成人(18〜65歳)のガイドライン
1. 良好な健康状態を維持するため、18〜65歳の成人は身体活動性のあるライフスタイルを維持しなければならない。
2. 中強度の有酸素(持続:endurance)運動を最低30分週5日、もしくは高強度( vigorous)有酸素運動の最低20分週3日をしなければならない。
3. 中強度・高強度運動の組み合わせは、この推奨に合わせて施行してよい。例えば、週2回30分の早歩きとそれ以外の日は20分のジョギングなど。
4. 中強度・高強度運動は、日常生活の軽労作(例:セルフケア、皿洗い、デスクでの軽いツールを使った運動)や極短時間運動(例:ゴミ出し、ストアや駐車場までの歩行)に加え行う。
5. 中強度有酸素運動とは、早歩きや心拍増加を気づく程度運動で、最低30分まで1回運動を最低10分以上継続して積み重ねていくべき。
6. 高強度運動はジョギングで代表されるが、呼吸数増加、心拍の増加をもたらす運動である。
7. 加えて、筋力と耐用性を維持・増加させるため、少なくとも週2回は身体の大きな筋肉の運動を行うべきである。
8. 身体運動活動性と健康は用量依存的関係があるので、個々人の運行機能をさらに改善する希望があるなら、慢性疾患リスクや障害リスクを減少させる。不健康な体重増加を予防するには身体活動の最小推奨量以上に行うことでベネフィットをもたらす。
以前のガイドラインとの違いとして、下記が挙げられます。
1.中強度身体運動の明確化:週5日を最低限として推奨。
2.高強度運動(強化運動vigorous physical activity)を原則推奨に盛り込む。
3.明確化:中強度と高強度運動活動性は、健康上のベネフィットがあり、運動の種類が推奨に合致する。
4.明確化:有酸素運動を、日々の日常生活身体運動を加える。
ルーチンの軽い強度の運動、すなわちウォーキングや食品の買い物や10分以内の駐車場まで歩くこと、ゴミ出しといった労作のような日常の軽い労作を推奨運動に加えることとなっている。現代の生活では身体運動が少ない場合、中等度強度の運動を少なくとも10分加えること。しかし、中強度・高強度身体運動(仕事のための早歩き、ショベルによるガーデニング、木工)を10分以上のひとかたまりとして行うこと場合は推奨の代用としてカウントしてよい。
5.多いほどよい。
ガイドラインの示した運動量は最小限の内容を示したものであり、それ以上の運動をすればより大きな効果をもたらすことができるようになる
6.短時間運動でもOK。
10分以上の短期間の運動を3回以上おこなって一日30分以上にすることを推奨。
忙しい人でも少しの時間を見つけて運動して、合計の運動時間が30分以上あれば有効である。
7.筋肉強化運動とストレッチを今回から含む。
少なくても週2回。
(用語の明確化)
“aerobic””endurance”などという言葉を、身体運動の種類などとともに明確にした。
定義に関して、頻回に用いられるようになっている。例えば、運動総量を、強度、期間、回数として表現することが一般的で、特に中強度(moderate-intensity)、高強度(vigorous-intensity)を、「中強度:3.0〜6.0METs」「高強度:6.0METs超」と明確化し、今後運動強度の表現に一般使用するよう推奨している。
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次に高齢者のガイドラインは、基本的に健康成人と同じで、
特異的だと思われる部分は、
まさしく、「運動に遅すぎる年はない」と述べられています。
Summary of physical activity recommendations for older adults 2007.
◆2007年の成人(65歳〜)のガイドライン
8.転倒リスクを有する地域居住老人は、転倒リスクを減少するため、バランスの維持・改善運動を行うべきである。
9. 身体活動性に関係する医学的問題を一つ以上持つ老人高齢者では、治療の有効性安全性が状況を改善する方法で運動を行うべき。
10. 高齢者は推奨される運動のタイプに帰着する十分な身体運動を獲得するプランを持つべきである。
身体運動が治療である慢性疾患を有する高齢者では、予防・治療を亢進する単一のプランを有すべき。
高齢者では、時間をかけた、身体運動活動性を増強する漸増(or 階段状)のアプローチがプランとして行われるべき。推奨レベル以下の活動が相当月数なされることが存在することは当然であり、その運動を漸増すべきで。高齢者は定期的に自己モニターを行い、その能力の改善、健康状態を再評価しながら行うべき。
なにかわからない点があれば、BEACHメディカルチームまでご質問ください。
- 2008.02.21
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